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2005-01-01 (土)

*ブラックホールのレシピ

竹内薫氏の本は何冊か読んでますが,今回は超ひも理論だけあって難解です.書いてある内容自体は分かりやすく書かれているのですが,イメージが追いつかない.たとえば,ひもでブラックホールを記述した場合に,どのようなものになるのかという説明を,料理法として書いてあるのですが….

用意するもの

  • D6ブレーン(6次元の膜)数枚
  • D2ブレーン数枚
  • 5ブレーン数枚(つるつるした5次元の膜)
  • 丸まった6次元空間 = 4次元ドーナツ1つ + 円2つ

調理法

  • 1. D6ブレーンを丸まった6次元空間全体に巻き付ける
  • 2. D2ブレーンを2つの円に巻き付ける
  • 3. 5ブレーンを4次元ドーナツと1つの円に巻き付ける
  • 4. ブラックホールのできあがり!

ということらしい.3が終わった時点で,頭の中にブラックホールが浮かんでいたかと聞かれたら…,私には想像できてませんでした.

次元が高いってだけで大変なのに,高次元の膜がネバネバしたり,ツルツルしたりといった,物理的性質まで帯びてこられると….

ただ,こうして出来上がったブラックホールのエントロピーを計算すると2次元になっているというのが面白い.一見3次元なのに,情報の観点から見ると2次元に落ちてしまう.この世界も,観測の仕方を変えれば,次元数が違って見えるのかなぁ.ただ,個人的に11次元は多すぎでおなかいっぱい….

まだ,超ひも理論はまだ未完成って感じだなぁ.とにかく,全ての辻褄が合うように組み立てていったら出来上がってしまった怪物みたいなものに見える.たしかに,あと幾つかのことが実験で確認できれば,究極の理論として使えるかもしれないけど,もっと単純明快な表現方法が無いのかなぁ.

関係ない連想

このまえ読んだ「アリス」も,「蝶」でなくて「ひも」だったり,「マンデルブロ集合」ではなく「カラビ=ヤウ図形」だったりすれば,それは最先端の物理学者が見たがっている世界になるのかも.むしろ,超ひも理論の「超」と「蝶」をかけた洒落だったのか?

世界が無限の蝶に見えるのも怖いかもしれないけど,とてつもなく重いひもに見えるのも怖いな.ひもの張力をちょっと変えて観察するだけで,この世界は恐ろしいことになってしまったり(というより,なるだろう).プランク定数がもう少し大きければ,密室殺人なんかをネタにした小説なんかかけなかっただろうに.

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